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着物大事典

【特集版】着物コラム

トイレが重要文化財になっている東福寺・弥勒菩薩が有名な広隆寺

京都名所特集と銘打ってご紹介するのは、京都にある神社仏閣の特徴や歴史についてです。細かくご紹介して、観光などの際に役立てていただきたいと考えております。第1弾の今回は東福寺(とうふくじ)と広隆寺(こうりゅうじ)です。

 

●東福寺とは

東福寺は京都駅から東南の方角にあります。JR奈良線で一つ先の東福寺駅近く。東山三十六峰である1つである月輪残(がちりんざん)のふもとにある臨済宗の総本山です。鎌倉時代に当時の摂政であった九条道家が創建しました。九条道家は巨大な大仏を造り、東大寺や興福寺に引けをとらない堂々たる寺を造営し、安置することでその権力を誇示しようと考えました。寺の名前は、東大寺と興福寺からとって東福寺としたところからも対抗心が見てとれます。

大仏は高さ15メートルと巨大な大仏を造り上げ、寺は建長7年に完成しました。東大寺の大仏は高さ14.8メートルだったため、目論見通り当時では最大級の大仏となったのです。この大仏は明治14年まで残存します。そう、東福寺の大仏は焼失してしまうのです。1回目は元応元年(1319年)に火事で焼失。一度は再興されましたが明治14年の火事で再び焼失してしまいその後は再興されることはありませんでした。現在、大仏の左手(高さ約2メートル)が火事の時に救出されたため保存されています。

そして、東福寺にはもう一つ貴重な重要文化財があるのはご存知ですか?それはなんと、現存する最古のトイレなのです。東福寺東司と呼ばれるそれは、山門を入ってすぐ左側に禅宗様式の立派な建築物が目に留まります。外観も実に大きく見事でトイレとは思えないようなつくりとなっています。東福寺東司の中には、中央に大規模な土間があり左右に多くの穴が開いていて、それぞれ陶器の壺が二列に計72個並んでいます。仕切りは特になく、禅僧たちはここで最大100人ほど並んで用を足したといわれています。

当時はトイレで用を足すのにも厳しい作法があり、修行の一つでした。その作法を簡単にまとめると、

まず、法衣を脱いで丁寧に畳み、黄色の泥団子を準備します。次に、右手に水桶をもって革屋の前でわらじに履き替えます。厠に上って壺の上に蹲踞(そんきょ:膝を開いて深く曲げ、かかとを上げて上体をまっすぐにした姿勢)して用を足します。そして、用が済んだらヘラで拭き、右手で水を散らさないように壺を洗います。洗い終わったら手洗い場で手を三回洗い、灰で三度、泥団子で三度、サイカチという葉で三度洗って、その後も水や湯で手を洗います。

非常に細かく規定されている作法から読み取れるように、清潔さを保つことに神経を注いでいたことが分かります。壺に溜められた排泄物は京野菜をつくる肥料として利用され、寺にとっての収入源となっていました。今でいうリサイクルが昔から徹底されていたのですね。

東福寺は紅葉の名所としても名高く、境内にある「通天橋」という葉氏から眺望した紅葉風景は言葉にできないような美しさです。ぜひ紅葉シーズンに訪れて見事な紅葉と大仏の手、最古のトイレを鑑賞していただきたいです。

 

●広隆寺

1200年の長い歴史を持つ京都には、国宝や重要文化財に認められる仏像が数多く保存されています。中でも人気があり、広く知られているのが広隆寺の弥勒菩薩(みろくぼさつ)です。耳なじみのある仏像の名前ですよね。正式名称は弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしゆいぞう)といいます。この仏像が日本の国宝第一号とされているのです。実は広隆寺には宝冠(ほうかん)弥勒菩薩と宝髻(ほうけい)弥勒菩薩の二体の弥勒菩薩があり、どちらも国宝に指定されています。見た目に美しいのは宝冠弥勒菩薩です。スリムな体型で台座に腰掛け、右足を左足太もも付近にのせて足を組み、右手の弓先を軽く右頬にあてて、かすかに微笑んでいるように物思いにふける姿が美術的に美しいと人気になっています。ドイツの哲学者カール・ヤスパースはその美しさから「人間実存の最高の姿」であると絶賛したといいます。

広隆寺の創建は飛鳥時代の7世紀前半といわれていて、非常に古いものです。創建したのは京都の右京区と西京区一帯を開拓した秦氏(はたし)。広隆寺は秦氏の氏寺(有力氏族や王族の祭祀儀礼の場として作られた寺院)です。

秦氏は機織り・酒造・治水・養蚕など技術力をもった朝鮮半島の豪族で、日本に渡来すると京都や大阪の灌漑治水などに尽力、朝廷の財政にも関わった実力者でした。秦氏は聖徳太子から尊い仏像を賜り、それを祭るために蜂岡寺を創建したと日本書紀には記されており、この蜂岡寺が広隆寺だといわれています。ただ、広隆寺に伝わる史料によれば633年に亡くなった聖徳太子を祀るために建立されたともいわれており詳しいことはわかっていません。どちらにしても、聖徳太子を本尊として祀る京都最古の寺として知られ、現在は太秦の名所となっています。

裏話として広隆寺の弥勒菩薩像はかつて京都大学の学生がその美しさに魅せられ思わず触れてしまい、右手薬指が折れてしまうという事故が起こったそうです。現在では綺麗に修復されていますが、あまり深く魅了されないように気を付けてくださいね。

 

どちらの寺院も非常に歴史的価値の高い建造物として名高いので、京都へ観光された際はぜひ足を運んでみてください。ともに京都駅から電車で向かうのがいいのですが、京都駅構内に着物レンタルVASARA京都駅店がございます。着物で参拝されてみるのもフォトジェニックですので、こちらも併せてご検討いただければ幸いです。

 

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